大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(オ)242 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人A上告趣意は末尾に添附した別紙記載のとおりである。

第一点について、

論旨は上告人はDに対し「昭和二一年二月第一期作だけ離作料として刈退き耕作

を認めた、同年九月上告人が該田にゲンゲを播種する十日程前Dは上告人の宅に来

てゲンゲをまくならば早くまいてくれと申出で上告人は九月下旬該田にゲンゲを播

種し一一月上旬Dは稲を刈退き双方異議なく受渡し以後上告人が自作していた事は

甲第六号証で明らかな事実である」と主張するがこれ等の主張は原審の認定せざる

事実であるそして甲第六号証によれば上告人が昭和二二年三月三一日現在、本件田

を耕作していた事実を認め得るとしても同号証によつて本件賃貸借契約が合意によ

り解約されたことを認定することはできない。なお論旨は原審の審理不尽を主張す

るが原判決挙示の証拠により十分判示事実を認め得るから論旨は理由がない。

第二点について。

(1)所論Eの証言は原審で措信しないのであるし(2)甲第四号証はDの同意

を得る耕地を提供した時は上告人に耕作を譲る趣旨の契約書であることは認め得る

が、Dの同意を得た耕地を提供した事実は原審の認定せざるところであるから同号

証により合意解約によつて該田は上告人の自作田となつたと認定しないからとて何

等法則に反するものではない(3)原判決は上告人はDの知らない中に該田にゲン

ゲの種子をまいた事実を認定したのであり其認定は何等法則に反するところはない

(4)上告人とDの家人が懇意であるとしても上告人がDの知らない中にゲンゲの

種子をまいた事実を認定するさまたげとなるわけはない。要するに本点の論旨は原

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審の自由裁量にゆだねられている事実認定を非難することに帰し採用するを得ない。

第三点について、

原審が「控訴人は農地改革によつてその所有地を失うことを恐れ」と判示したの

に対し論旨は契約解除の申入れは昭和一九年一二月であつて未だ農地改革は予見さ

れていなかつたと非難するが原判決の右判示は昭和一九年一二月当時のことを説明

しているのではなく同二一年五、六月頃の本件田の返還請求について説明している

のである。従つて論旨は理由がない。

第四点について、

論旨は原審の自由裁量にゆだねられている証拠の取捨判断についての非難である

から採用できない。

第五点について。

上告人が昭和二〇年一一月二三日現在において所有していた小作地は本件係争地

をふくめて一町三反五畝七歩であることは原審の確定した事実である従つて上告人

の小作保有地七反歩(三重県における小作保有地は七反歩であることは当事者間に

争がない)を超える部分即ち六反五畝七歩だけ買収さるべきものであることは原判

決説示の通りである。然るに本件においては地積の関係上一歩だけ超過して六反五

畝八歩を買収されたのであるが、かような超過買収は昭和二一年四月一〇日農林省

告示第四二号により許されていることがらであることは原判決が説示している通り

であつて何等違法はなく論旨は理由がない。

よつて民訴四〇一条九五条八九条により主文のとおり判決する。

右は裁判官全員一致の意見である。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

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裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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